ちょうど僕が息子の年の頃、まだ音楽で食って行こうだなんてこれっぽっちも思ってなかったあの頃、日比谷野音で春一番コンサートなるものがあった。
サディスティック・ミカ・バンドやサウストゥサウス、夕焼け楽団や外道、バックスバニー。
でもお目当ては中でも一番無骨なWest Road Blues Bandだったんだ。
ブルースはこう弾けって感じでかき鳴らす二人のギタリスト。
一人は魂のおもむくまま躯ごと弾きまくり、現在単身ニューオリンズで活躍する山岸潤史さん。
そしてもう一人が自分好みで、渋くイカした魂のフレーズを決めまくる伸ちゃんこと塩次さんだった。
『やっぱりギター弾くんだったら関西に行かなくちゃ!』と、心に決めたものの、周りに反対され思いとどまった。
あれから30うん年、今年の春、荻窪のとあるライブハウスで忘れていたあの胸騒ぎが戻って来た。塩次さんのソロライブ。
そこには、当時の音楽性プラス洗練され熟成したBLUESがあった。ライブが終わり彼に駆け寄り年甲斐も無く興奮して言ってしまった。
「今度一緒にやらせて下さい」ってね。
そしたら間髪も入れず『いいよ!夏前はどうかな?』....。
二人のスケジュールがなかなか合わず、もたもたしていた自分がもどかしく、そして悔しい。
ご冥福をお祈りします。

得能律郎